【Tricker's(トリッカーズ)】質実剛健なカントリーブーツの魅力を一生モノにする修理

query_builder 2026/06/27

 1829年創業、英国王室御用達(ロイヤルワラント)の称号を持つ老舗トリッカーズ(Tricker's)。特に「モールトン」や「ストウ」に代表されるカントリーブーツは、日本でも圧倒的な人気を誇ります。 水や砂の侵入を防ぐ「ベロ(蛇腹ベロ)」、美しいメダリオン(穴飾り)、そして圧倒的な堅牢性を誇るディテールは、まさに男のロマンが詰まった一足です。

しかし、その頑丈さゆえに、正しい知識を持たずに履き続けたり、間違った修理を行ったりすると、本来の寿命を縮めてしまうことがあります。


1. 構造的特徴:頑強すぎる「グッドイヤー・ウェルト製法」と「ストームウェルト」


トリッカーズのカントリーシリーズ最大の特徴は、アッパーとソールの間に挟まれるウェルト(細革)がL字型に立ち上がっている「ストームウェルト(裁付けウェルト)」仕様になっている点です。これにより、雨水や泥が靴の内部に侵入するのを防いでいます。 また、アウトソール(本底)とミッドソール(中底の間にある革)を2枚重ねにした「ダブルソール」が基本であり、新品時は「まるで鉄板の上を歩いているよう」と言われるほど硬く、馴染むまでに時間がかかります。


2. プロが推奨する正しい修理アプローチ

① つま先の「ヴィンテージスチール」は必須 トリッカーズはダブルソールで靴底が分厚いため、履き始めはソールがほとんど曲がりません。そのため、歩くたびにつま先だけが急激にアスファルトと擦れ、アッパーやウェルトまで削れてしまうケースが多発します。 プロの対策: 履き下ろす前、あるいは数回履いてすぐの段階で、つま先に「ヴィンテージスチール(金属製の補強)」を取り付けることを強くおすすめします。ウェルトの糸を切らないよう、ミリ単位でソールを削り、完全にフラット(面一)に埋め込むのが職人の腕の見せ所です。

② コマンドソール・ダイナイトソールへのカスタム オリジナルはレザーソール(カントリーソーリング)のものも多いですが、日本の雨や悪路を気にせずガシガシ履きたい場合は、イギリス製の高級ラバーソールへの交換(オールソール)が最適です。 ダイナイトソール: 側面から凹凸が見えないため、カントリーでありながら上品でスマートな印象を残せます。 コマンドソール: 本来の登山靴・ワーク靴としての無骨さを最大限に引き出し、悪路でも圧倒的なグリップ力を発揮します。

③ ストームウェルトを絶対に傷つけない「出し縫い」 トリッカーズのオールソールで最も技術を要するのが、特徴である「ストームウェルト」の保護です。古いソールを剥がす際や、新しいソールを縫い付ける(出し縫い)際に、このウェルトを傷つけてしまうと、防水性が著しく低下し、独特のボリューム感あるシルエットが崩れてしまいます。当店では、オリジナルの縫い穴を極力なぞりながら、ウェルトに負担をかけない丁寧な手作業を徹底しています。


3. 乾燥は大敵!カントリーレザーの正しいケア トリッカーズによく使われる「エイコンアンティーク」や「マロン」などのレザーは、非常にタフですが、裏を返せば「油分が抜けても気づきにくい」という落とし穴があります。特によく曲がるシワの部分(指の付け根)が乾燥すると、ある日突然、革がピキッと裂けてしまいます(クラック現象)。 修理にお持ち込みいただいた際は、ソールだけでなく、革の奥深くまで栄養を届けるプロのシューケア(靴磨き)を施し、しなやかな状態に戻してお返しいたします。


トリッカーズは、5年、10年と履き込み、傷や色の変化(エイジング)を刻んでからが「本当の完成」です。 「ソールが減ってきた」「革が硬くなってきた」と感じたら、ぜひ当店の職人にご相談ください。その靴の歴史を尊重した、最適な修理をご提案いたします。

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